所信
はじめに
これまで47年間先輩諸兄姉が照らし続けたこの糸島は、今なお煌々と光り続け今では国内外から注目されるまちへと成長しています。
私自身、これまで多くの方々から暖かい光を照らしていただき今があると感じています。
『一隅を照らす、これすなわち国宝なり』、これは、日本の天台宗の開祖である最澄が著した『山家学生式(さんげがくしょうしき)』の冒頭にある一節です。一隅は、片すみという意味で、『一隅を照らす、これすなわち国宝なり』とは「片すみの誰も注目しないような物事にきちんと取り組む人こそ尊い人である」という意味です。一人ひとりが自分の置かれた場所で「一隅を照らしていく」ことこそ私たちの本来の役目であり、それが積み重なっていくことで世の中がより良く出来上がっていくということを説いているものです。かくして、目立つ人やリーダーのみが尊いのではなく、表には見えにくいものの、その人を支える方々も同じように尊いものであります。これはJCでも同じことが言えます。理事としての役割を担い活動するメンバーもいれば、その理事メンバーに協力して細かな部分を支えてくれるメンバーがいます。理事として活動するメンバーは確かに目立ちますが、その陰で支えるメンバーがいなければ一つひとつの事業、運動を展開し成し遂げることは決してできません。一人ひとりが今いる立場のところで一所懸命取り組みそのことが他の人に伝わり、その姿をみることで気持ちが伝わり、それらがたくさんの人達に伝播することで、一つのことが成し遂げられていくのだと想います。世界を俯瞰してみれば、私たちのいる地域は小さな点にさえなっていないかも知れません。しかしながら、一人ひとりが目の前の事に一生懸命取り組むことで輝きを放ち、それが周りの人たちを照らし、周りの人たちが輝けば、地域が、国が、世界が照らされます。そうすることで光の点と点はやがて線で結ばれ、面となり、眩い大きな光となり未来を切り開いていくでしょう。輝きのスタートはまず私たちです。私たちが住むこの糸島を明るく照らし続けよう。
糸島JCの現状
現在、糸島青年会議所(以下、糸島JC)には60数名のメンバーがいます。近年の会員拡大の成果によりLOMの平均年齢は若干の改善を見せているものの、入会3年未満さらには、入会時の年齢が高くなっている現状から、入会年数が 3 年未満であるアカデミー会員のまま卒業するメンバーも少なくありません。
また、仮入会時には興味をいただいていたJC活動が実際に正入会になるとその価値を見出せず、所謂「幽霊部員」となることも少なくありません。これはJCの仕組みを理解することができないだけでなく、先輩方が築き、地域に根づいた伝統が失われつつある危機的状況を招く可能性があります。地域の問題や課題に果敢にチャレンジしていくとともに、対内的に抱える課題や問題を解決する必要性を強く感じています。加えて、我々が地域に必要とされる団体であるために、様々な事業や研修等を通して理念と目的を明確にし、共有していく必要があると考えます。
JCの存在意義
JCが必要な理由とは何であろうか。私たちにしかできないことは何であろうか。私たちは青年の大切な時期を、まちのため、家族のため、仲間のために費やすことを約束し行動しています。自らの時間を公に費やし、社会のために尽くすこの団体は、糸島の明るい豊かな未来のためになくてはならない存在であると信じています。
しかしながら私たちに共感し、ともに行動する同世代の少なさを事実として受け止め、この団体の魅力と必要性について改めて見つめなおし、それを後世へと伝えていかなければならないと想います。何かしらの社会に所属して生きている私たちは誰かから期待され、その期待に全力で答えたときに心からの喜びを感じることができる。より強い結束でつながっている私たちだからこそ改めて人のために生きることの意義を自らの行動で市民に示すべきであり、その期待されていることをすべてのメンバーが感じることができ、その期待に応えようとするすべての光を一点に集中させる環境を強固にし糸島に大輪の光を輝かせよう。
誰も取り残さない青少年育成事業
青少年は未来のまちを創る存在であり、青少年の育成は、まちの未来を創ることといっても過言ではありません。青少年の育成においては、青少年が置かれた現状を踏まえながら、私たちがめざす社会の本質を見極め、それをつないでいくことが必要です。
現在、“同じことを同じようにする”といった枠にはめこむ形の同調圧力に生きづらさを感じている青少年が増えており、その結果、自分はどうありたいのか、何を成し遂げたいのかという夢を持ちづらくなっている状況にあると言われています。同じことを同じようにするという場面では、与えられた課題をいかに効率的にこなすかという点に意識が向き、与えられた課題さえすれば良いという一種の思考停止に近い状態に陥ってしまいます。そのため、自分はどうありたいのか、何を成し遂げたいのかという自分の夢を発見するために必要な能力が十分に養われない恐れがあるのです。
私たちがめざす社会は、明るい豊かな社会であり、それは、まちに住むすべての人々が笑顔で生きがいを持ち、自らの夢や目標に挑戦し続けることができる社会だと考えています。そのため、私たちがめざす社会の本質とは、一言で言えば、生きがいを持つことや自らの夢や目標に挑戦することではないでしょうか。子供たちが、自分がどうありたいのか、何を成し遂げたいのかを見つけるきっかけとして本年度は、家庭や、各機関とも連携しながら、自ら考えて判断し行動する自律力、多様性を尊重したコミュニケーション能力、そして問題を解決し新たな価値を生み出す創造力をテーマに、自らの可能性に気づき、ありたい自分や成し遂げた自分自身を光り輝かせることのできる子供たちを育成してまいります。
新たな地域の資源開発
本当にこの故郷(ふるさと)の魅力を他人に伝えることができているでしょうか。
福岡県の西端の半島に位置するこのまちは人口約10万人。自然と都市生活の両方が楽しめる生活クオリティが評価され、2021年世界的情報誌が実施した「輝く小さな町」ランキングにて世界3位に選ばれ現在多くの注目を浴びている地域へと成長しています。また様々な畜産物、農産物、海産物があり「糸島ブランド」は日本中に浸透しつつある魅力の一つです。しかし果たして自然の豊かさや食が美味しいと誰もが口にする今の在り方のみで、本当に糸島の魅力を理解しているのでしょうか。この地域には顕在化された魅力だけではなく、まだまだ発見されずに埋もれている潜在的な魅力も存在していると感じます。
民間企業では本当は輝く商品やサービスがあるのに、その魅力に気づいていないために、うまく伝えることができていません。また、糸島JCの活動も地域に必要とされる団体なのにも関わらずそれに気づいていただけない時があります。一方で、私たちもその魅力を伝えることだけではなく、自分たち自身がその魅力に気づくことが大切です。たとえば、私たちが住んでいるところから半径1km圏内にある飲食店をすべて答えられる方は少ないと想います。これは、消費者側から立てば周りを見ているようで見ていないということであり、飲食店側から立てば魅力を伝えきれていないということが言えます。周りを見渡してみれば意外な魅力を発見できるはずです。そのような潜在的な魅力の発見こそが「一隅を照らし」、この糸島の地域経済をさらに輝かすことに繋がるきっかけとなると確信しています。そのためには、まずは発信する側が自分自身も気づいていない地域の魅力や商品サービス等の魅力をどのようにすれば見つけ出すことができるのか、またその魅力を多くの方々に伝えるにはどのようにすればよいのかを学ぶ必要があると考えます。糸島にあるたくさんの魅力や企業、団体が自らの魅力に気づき発信していくことができればいたるところで輝きを放ち、糸島を大きく照らしていくでしょう。そして、糸島に根付いた地域のための運動を展開している糸島JCである私たちだからこそ、地域に埋もれている数多くの魅力を掘り起こし、さらなる光を灯すことで、糸島の地域経済を明るく照らしていけると確信しています。
円滑な組織運営と学び多き例会
「課題先進国」の日本において我々が住み暮らす地域も同様に様々な社会課題に直面しています。課題解決を仕事とするソーシャルビジネス、いわゆる社会起業家も日本には数多く存在します。以前であれば、社会起業家は社会問題を解決し、企業は利益を追求するという対極ともいえる距離がありました。しかし地域も企業も持続可能性を重視する現代だからこそ、社会の困り事を我が事として解決したいという道徳性と、そこに新しい需要や価値を見つける収益の探求は切り離すことはできません。今後、ますます社会全体の企業の存在意義が利益の最大化だけではなく企業価値を高めることにシフトしていき、地域の課題とビジネスを両輪として、社会課題の解決と経済成長の両立をめざすことが真に持続可能な地域を創り上げると信じています。そのためにはこの地域で事業を行う青年経済人が、地域の課題について自己犠牲でもなくボランティアでもない課題解決の在り方についてビジネスをとおして見つめ直し、地域を牽引するリーダーとして、己を教養し、今後の仕事としての礎を学べる機会を構築し、広い視野でどんな課題がこの地域の明るい豊かな社会の実現に繋がるのか、見極める力を身に着けることが重要と考えます。
また青年会議所はその字のとおり、会議にてすべての事業を決定していきます。そして、会議体であるJCの事業運動は、参加者全員の意思決定によって決まります。その重要な会議体である理事会議、総会、例会、そして監事監査等の諸会議は効率よくかつ円滑に運営していく必要があります。そのため、諸会議を運営している担当委員会は非常に重要な役割を担っています。すべての会議を予定通りに時間通りに滞りなく進めていくことで、すべての委員会は事業構築にかける時間を生み出し、実施までのスケジュールを計画通りに進めていくことを可能とするのです。組織の下支えとして機能する担当委員会の結束力が、組織全体の結束力を高めると言っても過言ではありません。組織全体をより輝かせより高い地点へと押し上げていこうという気概をもって取り組んでいきましょう。
光の強さを増強する会員拡大
JC運動の目的は明るい豊かな社会の実現であり、まちづくり運動を今後も発展させていくためには会員拡大活動の必要性を理解し、会員拡大に対し主体者意識をもちつづけなればなりません。全国的に見ても会員数の減少は大きな問題となっている中で、糸島JCも例外ではありません。会員拡大は最重要課題として、早急に取り組まなければならない活動の一つであることは間違いありません。私は、この糸島JCでの活動を通じて多くの先輩方々の「熱い情熱」「思いやり」「責任感」をもって常に当たり前に取り組んでいる姿を目の当たりにし、憧れ、糸島JCに入会をさせていただきました。今一度、この素晴らしい学び多き、糸島JCの取り組みや利他の精神を伝え、発信することで地域の人々の心に響き会員拡大に繋がると確信をしております。
しかしながら入会年数3年未満の会員が半数以上を占め、JC運動の参画から得られる喜びを感じる間もなく卒業し、JCの魅力を伝播することが難しくなってきている現状にも目を背けることはできません。JCは単年度制でありまた40歳で卒業という限られた時間の中で様々な役職を経験することで、豊富な実践経験を積むことができる団体です。その経験を活かし、地域を牽引できる人財をより多く輩出し、明るい豊かな社会の実現に向け地域のリーダーにふさわしい人財へと成長していくためのスキルとマインドを磨き、その資質を向上させる必要があります。また新入会員や入会間もない会員との交流を積極的に行い、より懇親を深め友情を育みながら、糸島JCの魅力を伝えることこそが今後のメンバー自身の人生の糧となり、未来の糸島JCや地域を担う人財となることと確信します。
自身の成長のために
JC活動の一番の魅力は、JCに所属していなければ出会えなかったような人たちとの出会いです。出向は県内にとどまらず、その気になれば日本全国、世界各国にも新たな出会いをもたらしてくれます。様々な場所で沢山の人と出会うことによって、出向したメンバーが人脈を広めるとともに見識を深め、ネットワークを作ることで、自身の成長に必ずつながり、それがLOMやまちの成長につながります。出向する権利は、すべてのメンバーに平等に与えられています。積極的に出向することで、互いに出向者の活動を理解し、全体でサポートするという意識を持つとともに、その経験をメンバーで共有することが、糸島JCの発展にもつながると考えます。
結びに
これまで、歩んできた人生の中で多くの人に出会い多くのことを経験させていただいた、この糸島を「もっともっと愛し、美しく素晴らしい」ものにしたい。
はじめて設立趣意書のワンフレーズを聞いたとき、この糸島JCを作られた先輩諸兄姉のやさしさと情熱を強く感じました。私も子を育てる一人の父親として素晴らしいまちの未来を子供に残し子孫らが笑顔で営々と住み暮らせるまちを創り続けたいと強く想います。
今年度、糸島JCの理事長を拝命するに当たり、もちろんその役職の誇りを胸に1年間活動して参りますが、この役職も1年間お預かりしている役職にすぎません。家に帰ればどこにでもあるまちの一事業者でしかありません。このまま現状に満足し限られたコミュニティーの中だけで終わる人間となるのか理事長を拝命した人間だからこそ、理事長としてではなく、一人の社会の一員として、自分自身が一体何者で、常に社会の中での自分の立ち位置はどこなのかを意識して活動して参ります。入会当時からこの団体でしか、限られたコミュニティーだけでしか通用しない人間であってはならないと思っておりました。この団体だけでなく社会からも必要とされる人間になってこそ意味があるのだと感じております。そして常に社会で通用する人間を輩出し続ける事こそこの団体の本来の姿なのだという想いは、こうして組織の長となった今、より一層強くなってきております。メンバー一人ひとりの輝きをさらに輝き立たせこの故郷(ふるさと)に大輪の光を灯してまいりましょう。
2024年度 一般社団法人 糸島青年会議所
第48代理事長 中村 信就
執行部
直前理事長兼監事 牛原 令資
監事 田中 宏明
副理事長兼出向理事 河野 伸二
副理事長 仲原 央隆
副理事長 松﨑 治久
副理事長 松吉 孝達
専務理事 浦山 浩
事務局長 安田 奈央
常務理事 山本 塁
【基本方針】
・会員同士の絆と思いやりを大切にした組織運営
・会員の相互交流と資質の向上の機会および規律ある例会の運営
・持続可能な地域を共にめざす志高き会員の拡大と育成
・効果的な事業実施に向けての戦略的な広報活動の展開
・行政を含むパートナーシップの構築
・新たな魅力を創造し故郷(ふるさと)をさらに輝かせるまちづくり事業の実施
・誰も取り残さない次世代を担う青少年健全育成事業の実施
・カーボンニュートラル実現へ向けたMOTTAINAI運動の推進
・全国大会福岡大会への積極的な支援
【事業計画】
(1) 一般社団法人糸島青年会議所として理事長所信に基づいた、運動・事業で委員会が行うもの
(2) 福岡ブロック協議会、九州地区協議会、日本青年会議所、JCが主催する事業で連携または依頼されたもの
(3) 糸島地域の各団体が主催する事業で、豊かな糸島の創造につながるものへの連携・協力
【各役職務】
定款第5章第29条から第34条並びに第36条による。
上記事業計画(3)については適宜、組織編制を行い連携・協力する。
【職務分掌】
〇全委員会共通
・例会に関する事項
会員の相互交流と資質向上の機会および規律ある例会の企画・運営
(各委員会は年12回の例会うち2回若しくは3回を企画・運営)
・全国大会福岡大会支援
・糸島地域持続化宣言の推進
・各種事業への積極的参画
〇総務渉外委員会
・総務に関する事項
総会の設営並びに運営(1月、9月、12月)
定款・諸規定の見直しおよび名刺・会員手帳の発行
議案ライブラリーの運営
・渉外に関する事項
じゃがいもゴルフコンペの企画・運営
行政を含む他団体とのパートナーシップの構築
全国大会福岡大会の中心的支援
出向者支援
・例会に関する事項(1月、5月、9月)
・会員拡大の推進と新入会員との積極的な交流
・褒賞エントリーへの取り組み
〇青少年育成委員会
・青少年健全育成事業(糸島塾)の実施
・献血事業の実施協力
・例会に関する事項(4月、11月)
・会員拡大の推進と新入会員との積極的な交流
〇故郷(ふるさと)づくり委員会
・新たな魅力を創造する故郷(ふるさと)づくりの実施
・社会福祉法人 糸島市社会福祉協議会との連携に関する事項
・例会に関する事項(2月、6月)
・会員拡大の推進と新入会員との積極的な交流
〇人財開発委員会
・例会での人財開発を目的とした企画・実施(3月、7月、10月)
・4団体による新春祝賀会行事の運営協力
・糸島地域持続化宣言の中期的検証
・例会に関する事項(3月、7月、10月)
・会員拡大の推進と新入会員との積極的な交流
〇会員拡大委員会
・会員拡大の中心的役割の遂行
・新入会員による新入会事業の企画・実施
・第8回糸島わんぱく相撲大会の企画・実施
・一般社団法人唐津青年会議所との交流に関する事項
・糸島駅伝大会の運営および青年団体連合会への協力
・例会に関する事項(8月、12月)
・会員拡大の推進と新入会員との積極的な交流
〇執行部
・第3エリア野球大会に関する事項
・ホームページの運営やS N Sを活用した対外への迅速な情報発信
・理事会等の議案配信
・Googleカレンダー管理